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フーコー、デリダ、ドゥルーズ-ガタリなどの名前を聞いたことのある人はいても、彼らがどんなことを訴えているのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。本書は、難解で敬遠されがちな現代思想を、図版を駆使し、できるだけわかりやすく解説しています。「自明な考え方」にメスを入れようとする現代思想の問題意識をつかみとってください(裏表紙の一文より)。
出版社:ナツメ社
図解雑学シリーズは好きでたまに買ってみるが、その魅力は何と言ってもわかりやすさにあるだろう。ある領域を知りたいと思っても、専門書では小難しくて、気が引けてしまうとき、こういう初心者向けの本は大変にありがたいものだ。
今回の『現代思想』でもそんな図解雑学のわかりやすさを活用することができた。
現代思想はやはりどうもわかりにくさはある。
たとえば「アンチ・オイディプス」の説明などは、僕がアホということもあってか、いまひとつわかりにくい。不必要に新しい言葉を使い、衒学とひけらかしを用いて、空疎な理論を交わしているように見えなくもない。
しかしこの本を読んで、いくつかの理論には心を引かれるものがある。
たとえばフッサールの相互主観性などは僕がぼんやりと感じ取っていることを適切に説明してくれているし、クリステヴァの「おぞましきもの」に対する考察も視点としてはユニークだ。またデリダの脱構築や他者の肯定を唱える理論も、結構好きで、特に他者の肯定は僕も普段から感じていたことなので、背中を押されたような気分だ。
この先、気に入った思想家の専門書あるいはより詳しい解説書を読むかはわからないが、ひとつの世界を僕の前に広げてくれたという点、わかった気になれた点で、この上なくありがたい本である。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
そのほかの図解雑学シリーズ感想
『図解雑学 重力と一般相対性理論』二間瀬敏史
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